ほの暗い闇の隙間から

あいかわらずの曇り空。
これからの展望がはっきりしない日々。
映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』では失明寸前ながらも働いている姿が映し出される。ほんのわずかの未来の希望のための労働。過酷な条件の中で彼女が安らぐのは音楽とともに過ごすことだ。この映画のミュージカル仕立ての演出がよい。歌う場面では彼女はとてもいい表情をする。ビョークはいい歌手でもあり、いい役者だ。北欧の澄んだ空気を醸し出す透明な歌声と、冷たい大地を思わせる広大な風景。

なんとかなるという究極の楽観論さえ普及してしまうご時世。
バブル期の浮かれ気分をまだ引きずりながらも時代は新たな一ページに導入し、あの時代をもう一度という歪んだ歴史が希求されている。
暗闇で踊りをがむしゃらに踊っているのだ。もしも輝ける未来が来たときの準備体操として。