劇場にて

夢と現実がわからなくなるときがある。
昨日の夢もそうだった。色がついているのかいないのか目が覚めると忘れてしまうのだが、とにかく夢をみている間は非現実があたかも現実になってしまう。そして、あ、夢だったのね。と、落胆したり喜んだり。
マルクス兄弟は現実を嫌というほどみせつける。映画に夢や希望を求める観客は途中で放り投げてしまうだろう。彼らの作品世界は不条理そのものだ。かといってマルクス兄弟は現実の切り取りに没頭しているのではない。不条理の現実に咲く一輪の花をプレゼントしてくれる。

そう、それが「笑い」だ。